ふるさと納税の出品方法は?基本的なシステムや流れを解説

ふるさと納税への出品は、商品の知名度を上げる機会です。
一方で、「どのような流れで出品するのか」「システムの仕組みはどうなっているのか」などの疑問をお持ちの事業者もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、ふるさと納税の基本的なシステムから出品までの具体的な流れ、さらには成功するための注意点まで詳しく解説します。ふるさと納税の出品準備や基本的なシステムについて理解を深めて、出品への不安を解消することができます。
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ふるさと納税の基本的なシステム
ふるさと納税は「納税」という名称がついていますが、実際には地方自治体への寄付制度です。
生まれ育ったふるさとや思い出の土地など、自分の意思で選んだ自治体に貢献するためのシステムとして、2008年に制度が開始されました。
寄附金の使い道を、ふるさと納税を行った本人が選択できるようになっている自治体もあり、教育支援や環境保護、地域振興など具体的な用途を指定することが可能です。ふるさと納税した金額は、確定申告を行うことで原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象になります。
また、寄付のお礼として寄付金額の3割以内に相当する返礼品を受け取れるため、実質的な負担を抑えながら地域の特産品を楽しめる制度として人気を集めています。
▼ふるさと納税に係る指定制度について
(1) 寄附金の募集を適正に実施する地方団体
(2) ((1)の地方団体で)返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす地方団体
・返礼品の返礼割合を3割以下とすること
・返礼品を地場産品とすること
引用元:総務省『ふるさと納税に係る指定制度について』
出典:総務省『ふるさと納税に係る指定制度について』
ふるさと納税の事業者になる流れ
出品プロセスでは、自治体・代行業者・事業者の間で明確な役割分担が行われます。各工程におけるRCAI(※)は、以下のようになります。
返礼品情報の提出:事業者(Responsible)
審査や掲載作業:自治体または代行会社(Accountable)
プロモーション活動:相談・情報共有しながら進める。(Consulted /Informed)
※RACIとは、業務の「誰が実行し、誰が責任を持つか」を整理するためのフレームワークです。
以下は、出品までの一般的な流れです。
▼ふるさと納税に出品するまでの流れ
手続きの流れ | 手続きの内容 |
①地方自治体に応募または問い合わせ |
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②事業や返礼品の内容を提出 | 出品を希望する返礼品の詳細情報(商品概要、価格、在庫状況、生産体制など)を提出 |
③自治体による返礼品の審査 |
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④自治体との契約・返礼品の登録 |
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⑤出品の公開とプロモーション |
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⑥注文受付・配送の手配・品質管理など |
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出品できる品目については、総務省が定める条件があります。これらの条件を満たしていない商品は返礼品として提供できません。
▼出品物に関する条件の一部
自治体で生産されたものであること
自治体で返礼品等の原材料の主要な部分が生産されたものであること
自治体の広報の目的で生産された地方団体のキャラクターグッズ、オリジナルグッズであり、地方団体の独自の返礼品等であることが明白なものであること
自治体で提供されるサービスが、地方団体に関連性のあるものであること など
また、2025年10月には仲介を行うふるさと納税サイトでのポイント付与が禁止され、2026年10月からは地場産品基準がより厳格になることが決まっています。
▼ふるさと納税の指定基準の見直し
募集適正基準:
寄附者に対しポイント等を付与するポータルサイト等を通じた寄附募集を禁止
地場産品基準:
製造者から、当該製品の価値の過半が当該区域内で生じていることについての証明がなされた場合に限定
- 宿泊は、同一県内展開の宿泊施 設に限る (以下は限定の対象外)
1人1泊5万円以下の宿泊
甚大な災害の被災地での宿泊 (発災の次の指定期間) 地域との関連性が希薄な役務は対象外である旨の明確化
さらに、自治体によって条件が異なるため、出品前に必ず各自治体の規定を確認することが必要です。
出典:総務省『ふるさと納税の理念』『ふるさと納税に係る告示の改正』『ふるさと納税の指定基準の見直し 【令和6年6月28日付け告示第203号】』
ふるさと納税に出品するときの注意点
ふるさと納税に出品する際は、生産・在庫管理の徹底が不可欠です。寄付が集中すると、急な注文増加に対応できず、配送遅延や品質低下を招くリスクがあります。また、自治体ごとにルールや手数料、サポート体制が異なるため、事前に確認が必要です。
さらに、数多くの返礼品の中で自社の商品をアピールするには、魅力的なPR戦略を立て、効果的な商品画像やストーリーを掲載することが重要です。寄付額やレビューなどのデータ分析も行い、PDCAサイクルを回すことで、継続的な人気商品へと育てることができます。
ここでは、以上の内容について、より具体的に解説いたします。
生産管理・在庫管理が重要
ふるさと納税の返礼品はその特性上、年末年始やお歳暮シーズンなど特定の時期に需要が集中する傾向があります。出品した商品をECサイトでも扱っていると、注文が集中して生産が間に合わず在庫切れを起こす可能性があります。
在庫管理や生産管理に気を配って、需要予測に基づいた計画的な生産体制を整えることが不可欠です。出荷の遅れが懸念される場合は、ふるさと納税のサイトに余裕を持った発送時期を記載して、寄付者に適切な期待値を設定することも重要です。
特に11月~12月は寄付が集中する繁忙期であり、想定以上の注文が一気に入ることがあります。繁忙期前に生産・在庫・出荷体制を見直し、配送遅延を防ぐ対策を講じておくことが重要です。自治体・代行業者・事業者間での役割分担(例:商品情報登録=事業者、審査・掲載=自治体、出荷管理=事業者)や、各工程のリードタイム(例:審査完了まで約2週間など)を明確にしておくと、スムーズな対応につながります。
自治体によって対応が異なる可能性がある
自治体によっては出品に関して独自の条件を設けており、総務省の基準に加えて追加の要件を課している場合があります。条件を自治体のサイトに掲載していないケースもあるため、出品を検討する際には、必ず事前に問い合わせをして詳細を確認しておく方が安心です。
また、返礼品に関する大部分の業務を、自治体から受託されている代理業者が代行していることがあります。この場合、代理業者の規約・運営方法に従う必要があり、自治体との直接的なやり取りとは異なる手続きが必要になることがあります。
代理業者との契約内容や条件を十分確認して、長期的な協力関係を構築することが成功のカギです。
PR戦略やデータ分析が不可欠
ふるさと納税に出品するだけでは、必ずしも売上が伸びるとは限りません。
出品した商品をより多くの方にアピールするためには、SNSやメディアを通じたPR戦略が欠かせません。例えば、魅力的な写真や動画で商品のストーリーを伝えたり、キャンペーン情報を発信したりするなど、積極的に情報発信を行います。自社のECサイトをお持ちの場合は、ふるさと納税サイトからそちらへの誘導を促すことも効果的です。
また、定期的に売上データや寄付者の動向を分析し、ニーズの変化や適切な価格設定などを見直すことも重要です。これらの分析に基づいた改善を行うことで、より効果的なふるさと納税事業へとつなげられます。
まとめ
この記事では、ふるさと納税の基本的なシステムから事業者になる流れやその際の注意点などについて以下の内容を解説しました。
ふるさと納税の基本的なシステム
ふるさと納税の事業者になる流れ
ふるさと納税に出品するときの注意点
ふるさと納税の出品・運営には、単なる商品販売とは異なるEC的視点が不可欠です。税制上の特性を理解した商品設計や、寄付者心理を考慮したマーケティング戦略など、専門的な知識と経験が求められます。
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