ECサイト運営の基本的な業務フローと必要なスキル

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EC市場の拡大により、多くの企業がオンライン販売に参入し、競争も激化しています。そのため、ECサイトの立ち上げを検討していたり、運営しているが具体的なノウハウがなくて悩んでいたりする担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

成功するECサイト運営には体系的な業務フローの理解と、多様なスキルの習得が不可欠です。

この記事では、基本的な業務フローと運営に必要なスキルを解説します。

出典:経済産業省『令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

ECサイトの運営は日々の業務量が膨大で、さまざまなスキルを必要とする複合的な事業です。また、ノウハウなしで軌道に乗せるには相当な時間がかかり、試行錯誤のコストも大きくなります。

ECサイトの運営支援・運営代行サービスの利用がおすすめです。専門知識を持つプロフェッショナルに任せることで、効率的な運営と着実な成長を両立できます。

目次[非表示]

  1. 1.ECサイト運営の主要業務フローと概要
    1. 1.1.①商品企画【フロント業務】
    2. 1.2.②商品の仕入れや製造【フロント業務】
    3. 1.3.③サイトの制作・更新【フロント業務】
    4. 1.4.④マーケティング【フロント業務】
    5. 1.5.⑤受注管理【バックエンド業務】
    6. 1.6.⑥在庫管理【バックエンド業務】
    7. 1.7.⑦梱包・出荷作業【バックエンド業務】
    8. 1.8.⑧アフターサービス【バックエンド業務】
    9. 1.9.➈データの分析とサイトの改善
  2. 2.ECサイト運営に必要なスキル
    1. 2.1.Webマーケティングのスキル
    2. 2.2.商品企画のスキル
    3. 2.3.クリエイティブ制作やデザインのスキル
    4. 2.4.カスタマーサポートのスキル
  3. 3.まとめ

ECサイト運営の主要業務フローと概要

ECサイトの運営は、大きく分けるとフロントエンド業務とバックエンド業務の2種類に分類されます。フロント業務は売上に直結する顧客向けの活動で、バック業務は運営基盤を支える内部作業です。

ここでは、主要な業務についてそれぞれの内容と、各工程のRCAIおよび定型的ミスを詳しく解説します。

RCAIとは、R (Responsible):実行責任者、A (Accountable):説明責任者・承認者、C (Consulted):協議対象者、I (Informed):情報共有対象者の頭文字をつないだ用語です。

①商品企画【フロント業務】

ECサイト運営の出発点となるのが、商品企画です。

市場のニーズやトレンドを正確に把握し、売れる商品を企画することが不可欠です。製造や配送にかかる時間を考慮して、トレンドの変化を先読みする必要があります。

さらに、原価率や利益率といった数値的な要素も重要です。

▼RCAIと典型ミス

  • R:企画担当者、A:経営陣、C:デザイナー、I:市場調査チーム

  • 典型ミス:市場のニーズを無視した商品開発、他社との差別化不足

②商品の仕入れや製造【フロント業務】

企画した商品を仕入れる、もしくは製造するプロセスです。いずれの場合でも、コスト・品質・納期は重要なポイントであり、バランスの取れた選択が求められます。

販売計画に基づいて仕入れ数量や製造量を決定することで、在庫リスクを最小限に抑えることができます。

市場の急な需要変化に対応するため、仕入れ先は複数確保しておくことがリスク管理において重要です。

▼RCAIと典型ミス

  • R:仕入れ担当者、A:仕入れ業者、C:在庫管理者、I:営業チーム

  • 典型ミス:需要予測の失敗による在庫過多や欠品、品質管理の不徹底

③サイトの制作・更新【フロント業務】

ECサイトの制作には、さまざまな方法があります。それぞれの特徴を理解し、自社のビジネスモデルに合った方法を選択することが大切です。

▼ECサイト作成方法の比較表

項目

導入

運用

拡張

ASP

初期費用が安く、すぐに始められる

システムのメンテナンスやセキュリティは提供元が行う

提供されている機能やデザインの範囲内でしかカスタマイズできない

モール

アカウント登録のみで、すぐに開店できる

システム管理は不要。販促や顧客対応に集中できる

サイトの機能やデザインはプラットフォームに依存する

自社EC

構築に時間と費用がかかる

サーバー管理、セキュリティ対策などをすべて自社で行う

機能やデザインを自由に拡張・追加できる

ECサイトは制作して終わりではなく、常に情報や商品の更新を行うことが売り上げを伸ばす上で重要です。

▼RCAIと典型ミス

  • R:Web担当者、A:デザイナー、C:開発者、I:マーケティングチーム

  • 典型ミス:ユーザーにとって使いにくいUI/UX、モバイル対応の不備、最新情報の更新漏れ

④マーケティング【フロント業務】

ECサイトにどれだけ魅力的な商品があっても、顧客に見つけてもらえなければ売り上げにつながりません。

プロモーションに有効なWeb広告として、以下があります。

▼Web広告の種類

種類

詳細

リスティング広告

検索エンジンの検索結果ページに表示される広告

ディスプレイ広告

Webサイトやアプリの広告枠に表示される画像や動画の広告

アフィリエイト広告

提携しているウェブサイトやブログに商品を紹介してもらい、成果に応じて報酬を支払う広告

SNS広告

FacebookやInstagramなどのSNSに表示される広告

ターゲット層の特性や商材の性質に合わせた広告手法を選択することで、効率的な集客が実現できます。

▼RCAIと典型ミス

  • R:マーケティング担当者、A:広告代理店、C:ウェブ担当者、I:顧客データ分析チーム

  • 典型ミス:ターゲット層とずれたプロモーション、効果測定の不実施、SNSでの炎上

⑤受注管理【バックエンド業務】

注文受付から発送連絡まで、顧客の購入プロセスを管理する重要な業務です。

受注確認メールの送信、決済状況の確認、発送予定日の連絡など、顧客と直接コミュニケーションを取る機会が多い業務であるため、ECサイトの印象と売上を左右するプロセスです。

業務の一連において、ミスなく迅速な対応が求められます。

▼RCAIと典型ミス

  • R:受注担当者、A:システム、C:顧客、I:在庫管理者

  • 受注データの入力ミス、二重注文や重複発送、顧客へのメール送信漏れ

⑥在庫管理【バックエンド業務】

在庫切れによる販売機会の損失や、過剰在庫による経営の圧迫を防ぐためには、日々の細やかな管理が求められます。

具体的には、適切な在庫量の設定、定期的な数量チェック、販売数予測に基づいた仕入れ数の調整などが必要です。特に複数の販売チャネルを扱っている場合は、リアルタイムで在庫を確認できるシステムの導入が望ましいでしょう。

▼RCAIと典型ミス

  • R:在庫管理者、A:倉庫担当者、C:受注管理者、I:仕入れ担当者

  • 典型ミス:在庫数の不一致、リアルタイムでの在庫反映の遅れ、不良在庫の増加

⑦梱包・出荷作業【バックエンド業務】

受注した商品を顧客のもとへ届けるための最後のプロセスが、梱包・出荷作業です。

ピッキングから梱包、配送まで、丁寧かつ正確な作業を心がけることが顧客満足度の向上につながります。商品に傷がつかない梱包はもちろん、納品書や送り状の記載ミスがないか、二重チェックを行うことが大切です。

また、手書きのお礼状を添えることで、顧客に良い印象を与えることができます。

▼RCAIと典型ミス

  • R:出荷担当者、A:配送業者、C:顧客、I:受注管理者

  • 典型ミス:注文内容と異なる商品の誤送、破損した状態での発送、梱包資材の不足

⑧アフターサービス【バックエンド業務】

商品が顧客に届いて以降の業務で、長期的な顧客関係構築において重要な役割を果たします。

商品到着の確認、商品に関する問い合わせやクレームへの対応、返品・交換の処理などが含まれます。

質の高い対応により、トラブル発生時でも顧客の印象をよい方向に変えることができる可能性があり、顧客満足度の向上とリピート購入の促進につながります。

▼RCAIと典型ミス

  • R:CS担当者、A:顧客、C:関連部署、I:商品情報チーム

  • 典型ミス:顧客からの問い合わせへの回答遅延、不適切な言葉遣い、クレーム対応の長期化

➈データの分析とサイトの改善

ECサイトに訪問した人の行動や動線、属性などを詳細に分析する業務です。

Google Analyticsなどのツールを活用して、ユーザーの行動パターンを把握します。分析結果をもとに、宣伝・広告の運用方法を見直したり、商品のラインナップを入れ替えたり、キャンペーンやセールを企画したりします。

さらに、ECサイトをより使いやすくするUI/UXの改善提案を行い、顧客体験の向上につなげることが重要です。

▼RCAIと典型ミス

  • R:データ分析担当者、A:ウェブ担当者、C:マーケティングチーム、I:全社

  • 典型ミス:データを活用しない勘に頼った改善、分析結果の部署間共有不足

ECサイト運営に必要なスキル

ECサイト運営には、多岐にわたるスキルが求められます。

Webマーケティングのスキル

Webマーケティングなくして、ECサイトの安定した運営や売り上げの拡大は困難です。

特に、サイト開設初期には集客を目的としたプロモーションが非常に重要になります。SEO対策、SNSマーケティング、メールマーケティングなど多岐にわたる知識が必要です。

顧客やターゲット層に合わせた施策を実行するには、データ分析能力と合わせて専門的な知識の習得が不可欠です。

商品企画のスキル

ECサイトの継続的な成長には、ニーズを的確に捉えた商品の企画能力が重要です。

話題になる商品を開発できればマーケティングの効果も高まり、相乗効果が期待できます。市場調査能力、トレンド分析力、競合分析などのマーケティングリサーチスキルが求められます。

事業全体の収益性を左右するため、戦略的な判断能力が必要です。

クリエイティブ制作やデザインのスキル

ここでいうクリエイティブとは、商品を魅力的に見せるための施策全般のことです。商品の撮影技術や画像加工、商品コピーや説明文のライティングなど、視覚的・言語的な表現力が求められます。

また、ECサイトのデザインはUX(ユーザーがサービスを利用する際の体験価値)に大きく関わるため重要なスキルです。美しさやおしゃれさも大切ですが、まず優先するべきは使いやすさと購入までの導線設計です。

CVR(コンバージョン率)やクリック率(CTR)などが、成果指標(KPI)とされます。

カスタマーサポートのスキル

顧客対応のスキルも、ECサイト運営には欠かせません。

顧客と直接コミュニケーションする機会が少ないECサイトだからこそ、丁寧で誠実な対応が求められます。お客さまの立場に立って真摯な対応を心がけることで、万が一のトラブル発生時にもよい印象を与えられます。

丁寧な顧客対応が、リピーターやファンを増やして長期的な顧客関係を築くカギです。

問い合わせに対する解決率や一次回答時間(顧客からの問い合わせに対し、最初の回答をするまでの平均時間)などが、成果指標(KPI)とされます。

まとめ

この記事では、ECサイトの運営における主要業務とその概要、また運営に必要なスキルなどについて解説しました。

  • ECサイト運営の主要業務フローと概要

  • ECサイト運営に必要なスキル

  • 運営支援・運営代行サービスの重要性

ECサイトの運営は日々の業務量が膨大で、さまざまなスキルを必要とする複合的な事業です。また、ノウハウなしで軌道に乗せるには相当な時間がかかり、試行錯誤のコストも大きくなります。

ECサイトの運営支援・運営代行サービスの利用がおすすめです。専門知識を持つプロフェッショナルに任せることで、効率的な運営と着実な成長を両立できます。

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