今さら聞けない「地方創生」の基本〜企業のメリットとは

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地方創生は、日本の各地域が抱える課題を解決し、持続可能な社会を築くための重要な取り組みです。企業がこの地方創生に積極的に関わることは、社会貢献だけでなく、ビジネスにおいても大きなメリットをもたらします。

この記事では、地方創生が求められるようになった歴史的背景と、企業が地方創生に関わることのメリット、その具体的な進め方について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.「地方創生」が目指すものとは
  2. 2.「地方創生」の歴史
    1. 2.1.2010年代までの状況
    2. 2.2.地方自治体消滅の可能性
    3. 2.3.2014年の『まち・ひと・しごと創生法』制定
    4. 2.4.2022年の『デジタル田園都市国家構想』
    5. 2.5.2024年の『地方創生2.0』
  3. 3.企業が地方創生に取り組むメリット
    1. 3.1.地方にいる人材を確保できる
    2. 3.2.リスクの分散ができる
    3. 3.3.補助金が活用できる
    4. 3.4.企業のイメージアップになる
  4. 4.地方創生2.0の本質と今後の方向性
  5. 5.地方創生のパートナー選びは「業務設計から支える伴走型支援」をポイントに
  6. 6.まとめ
    1. 6.1.企業×自治体×地域住民の三者で合意形成を図り、KPI設計まで支援可能

「地方創生」が目指すものとは

地方創生とは、人口減少や高齢化といった地域の課題に対して、地域ごとの強みや特徴を活かしながら、自立して持続可能な社会をつくっていく取り組みです。さらに、地方創生の基本目標とそれらをささえる、横断的な目標も踏まえて詳しく解説します。

こうした取り組みを実現するためには、国の支援だけに頼るだけではなく、地域自身が主体となって課題解決を進める「地域主導の仕組みづくり」が重視されるようになっています。

具体的に以下の4つの基本目標と、2つの横断的な目標が掲げられています。

▼地方創生の基本目標

地方創生の基本目標

説明

稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする

地域産業の振興と雇用創出により、地域経済の自立性を高めて安定した雇用環境を整備する

地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる

都市部から地方への移住促進や、関係人口の拡大を通じて人材の流入を図る

結婚・出産・子育ての希望をかなえる

子育て支援の充実や働き方改革により、家族形成を支援して、人口減少に歯止めをかける

ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる

インフラ整備や文化・教育環境の向上により、住みやすい地域づくりを推進する

▼地方創生の横断的な目標

横断的な目標

説明

多様な人材の活躍を推進する

女性、高齢者、外国人など多様な人材が活躍できる環境を整備して、地域の活力向上を図る

新しい時代の流れを力にする

デジタル技術やイノベーションを活用して、地域課題の解決と新たな価値創造を実現する

出典:総務省統計局 e-Stat『人口推計(2024年10月1日現在) 要約

「地方創生」の歴史

ここでは、地方創生の歴史的な背景を解説します。

地方創生は、日本の地域格差の是正を目的とした長年の政策的取り組みの中で発展してきたものであり、人口減少や地域消滅のリスクを受け、制度整備が進んできました。

2014年の「まち・ひと・しごと創生法」制定をはじめ、2022年の「デジタル田園都市国家構想」、そして2024年の「地方創生2.0」に至るまでの主な流れを紹介します。

2010年代までの状況

1960年代から、地方と都心部の格差の解消、あるいは縮小は政府の主要な政策の一つとして取り組まれてきました。

2013年(平成25年)からは、前年に発足した第二次安倍内閣が経済対策の一環として、地域経済の振興と雇用創出、人材力の強化、まちづくり・地域づくりの支援が図られました。

この時期の取り組みは、アベノミクスの地方版として位置づけられ、地域の自主性を重視した政策展開が特徴です。

地方自治体消滅の可能性

2014年(平成26年)、当時の支援策が実行に移されている最中、民間組織である日本創生会議がある予測を発表しました。

若年女性(20~39歳の女性)の人口が、2040年までに5割以上減少すると予想される地方自治体の数が、全国の49.8%にあたる896に達するとされたのです。

この報告は、多くの地方自治体が将来的に消滅する可能性を示唆するものでした。

出典:総務省統計局 e-Stat 『データ一覧(2024年10月1日現在)

2014年の『まち・ひと・しごと創生法』制定

人口減少による地域存続の危機に対応するため、第二次安倍内閣は「経済財政運営と改革の基本方針2014」を閣議決定しました。いわゆるローカル・アベノミクスの中心をなす政策として、「まち・ひと・しごと創生」の名称で地方創生が掲げられています。

同年9月には、初代地方創生担当大臣として石破茂議員が任命されました。同年11月には「まち・ひと・しごと創生法」が制定、12月には同法に基づき「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、具体的な取り組みが本格的にスタートしました。

2022年の『デジタル田園都市国家構想』

2022年(令和4年)には、政府が『デジタル田園都市国家構想総合戦略』を閣議決定しました。地域が抱える様々な問題を解決し、地域サービスの維持と向上を実現することを目指しています。

デジタル技術を活用して、地方における医療、教育、交通、防災などの分野での利便性を高め、都市部との格差を是正することを目的としています。

この構想は、地方の魅力を高め、持続可能な社会を築くための新たな柱となっています。

出典:内閣官房『デジタル田園都市国家構想 総合戦略』『デジタル田園都市国家構想総合戦略(2023 改訂版)

2024年の『地方創生2.0』

2024年(令和6年)の地方創生方針である「地方創生 2.0 基本構想」では、これまでの地方創生の取り組みが一部の地域にとどまっていた事実を認め、より現実的な視点に立った新たな方向性が示されました。

この方針では、人口減少という現実を前提に、地域の質的な充実と多様な価値創出を推進する視点が明確にされています。
誰もが安心・安全に暮らせる持続可能な地域社会の形成が、改めて重視されています。

具体的な施策としては、持続可能で活力ある国土の形成や、交通のリ・デザイン、持続可能な観光の推進などが挙げられています。

出典:内閣官房『地方創生 2.0 基本構想

企業が地方創生に取り組むメリット

企業が地方創生に取り組むことは、社会貢献にとどまらず、自社の人材確保や事業継続、経営効率の向上にもつながる重要な経営戦略です。

地方に眠る人材の活用や、災害時のリスク分散、補助金制度の活用などにより、経済的なメリットや組織の安定性を高めることができます。

例えば、地方拠点を設けることでBCPを強化したり、地元人材を活かす仕組みを作ることで採用・育成コストを抑制可能です。加えて、CSRの観点からも企業イメージの向上が期待できます。

こうしたメリットをそれぞれ具体的に解説します。

地方にいる人材を確保できる

優秀な人材は首都圏に集中する傾向があり、その結果、企業は人材を確保するために多額の人件費を投じる必要があります。

しかし、地方創生に貢献することで、企業は地方に残った優秀な人材を、比較的低い生活コストのまま確保できる可能性が高まります。

また、地方と都市部の人的交流を促進することで、従業員は多様な経験を積み、個々の人材の成長にもつながります。

リスクの分散ができる

地方創生への参画は、BCPの強化につながります。BCP(Business Continuity Plan)とは、災害や緊急事態が発生した際に、企業が事業を継続、早期復旧するための計画のことです。

首都圏や都市部のオフィス機能を集中させると、災害への対応力が弱まるリスクがあります。複数の地方に機能を分散させることにより、事業を継続できる可能性を高めることができます。

日本は地震や台風などの自然災害が多い国であるため、地理的な分散は重要な経営戦略です。

補助金が活用できる

地方自治体の中には、地方創生を推進するために、企業向けの起業補助金や税制優遇措置を設けているところがあります。

これらの補助金や優遇措置を活用することで、企業は新たな事業展開や拠点設置にかかる初期費用を抑え、経営リスクを軽減できます。

各自治体の情報を収集し、自社の事業内容に合った支援制度を見つけることが重要です。

企業のイメージアップになる

近年、企業は単に利益を追求するだけでなく、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)を果たすことが求められています。

地方創生への貢献は、企業のCSR活動として非常に有効であり、大企業であればその取り組みがメディアに取り上げられ、企業のイメージアップにつながる可能性が高まります。

また、対外的なイメージアップだけでなく、従業員満足度の向上にも寄与します。テレワークを活用した在宅勤務を導入することで、従業員は住み慣れた場所を離れることなく勤務が可能となり、ワークライフバランスの向上やストレス軽減につながります。

地方創生2.0の本質と今後の方向性

2024年に打ち出された「地方創生2.0」では、従来の施策を見直し、より現実的な地域課題へのアプローチが求められています。

特に注目すべきポイントは、人口減少を前提にした質的な充実という視点です。

単に人口や拠点数の維持を目指すのではなく、限られた資源と人材を活かしながら、暮らしの質・地域サービスの質を高める取り組みが重視されています。

今後の地方創生では、こうした定量から定性への転換が重要なキーワードとなります。

企業が果たす役割もより具体的かつ重要となり、民間パートナーとの連携による新しい地域支援のあり方が問われています。

地方創生のパートナー選びは「業務設計から支える伴走型支援」をポイントに

地方拠点を持たない企業が地方創生に参入する場合、パートナー選びが重要です。

企業の取り組みを成功に導くポイントは、戦略だけでなく、実行フェーズに並走できるパートナーの存在が不可欠です。

業務プロセスの設計から、現場の課題解決、行政・住民との連携まで支援できる「伴走型支援」が、これからの地域支援のスタンダードとなります。

地方創生コンサルタントや、人材採用のアウトソーシング企業など、専門的な知識とネットワークを持つパートナーと連携することで、スムーズな事業展開が可能になります。

オンサイト株式会社』は新規事業開発・推進支援やマーケティング支援などトータルサポートを提供しており、企業の地方創生参画を包括的に支援しています。地域の特性を理解し、現地のステークホルダーとの関係構築を行いながら、持続可能な事業モデルの構築をサポートします。

まとめ

この記事では、地方創生の目的や歴史的背景をふまえ、企業が参画するメリットや具体的な取り組み方、実行支援パートナーの重要性について解説しました。

  • 「地方創生」が目指すものとは

  • 「地方創生」の歴史

  • 企業が「地方創生」に取り組むメリット

  • 「地方創生」におけるパートナー選びの重要性

地方創生は、日本の未来を築く上で不可欠な取り組みであり、企業の皆様が積極的に関わることで、社会に大きな価値を提供できます。同時に、企業価値の向上や新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。

地方創生の具体的な進め方にお悩みでしたら、ぜひ『オンサイト株式会社』にご相談ください。貴社の事業内容や目指す目標に合わせ、ふるさと納税業務の自動化、週次KPIの可視化、地域ECの戦略設計など、地域特性に応じた実行支援が可能です。

ふるさと納税についての詳しい記事はこちらもお読みください。

企業×自治体×地域住民の三者で合意形成を図り、KPI設計まで支援可能

地方創生の実現には、企業・自治体・地域の三者が目線を揃えることが重要です。

オンサイトでは、移住相談件数/月や域内EC売上など、実行可能なKPI設計と週次の見える化を含め、業務設計から実装・改善まで支援します。

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