EC戦略に欠かせない重要指標を詳しく解説

EC戦略を正しく進めるには、どこに投資し、何を改善すべきかを判断するための「共通の指標」が欠かせません。
CVR・LTV・CAC などの指標はその基盤となりますが、実際には次のような問題が多くの企業で起きています。
部署ごとに指標の定義が異なる
レポート形式が統一されず、比較できない
担当者ごとに改善すべき指標の解釈が揺れる
経営層と現場の数値認識が一致しない、など
このような状況では、経営層との認識も揃わず、正確な投資判断や改善計画が立てられないため、EC戦略の精度は大きく低下してしまいます。
本記事では、売上構造の分解から主要指標の整理方法までをわかりやすく解説し、さらにEC戦略におけるKPI管理の役割にも触れながら、「組織として数字を揃えて判断するためのポイント」を実務目線で紹介します。
目次[非表示]
売上の構造「CVR・LTV・CA」は、基本の三大指標
EC戦略を設計するうえで、最初に押さえるべきは、売上の構造式です。
売上 = 集客数 × CVR(購入率) × 客単価 × リピート率 |
この式は、EC事業の成果が「4つの指標の掛け算で決まる」ことを示しています。どれか一つが弱いだけで売上が伸びにくくなるため、まずは各項目の意味(定義)を正しく理解することが重要です。
以下では、この4つのうち、とくに改善への影響が大きい CVR・LTV・CAC の基本定義を整理します。
CVR(コンバージョン率)
CVRは、Conversion Rate(コンバージョンレート)の略で、サイト訪問者のうち、購入に至った割合を示します。
CVR(コンバージョン率)=コンバージョン数 ÷ 訪問数 × 100 |
何%のユーザーが「実際に購入したのか」を示す指標で、売上が伸びない原因を特定する際の最重要指標の一つとされています。
とくにマーケティング領域では、登場頻度が高く、LP改善・商品ページ改善・広告の効果測定など幅広く活用されます。
一般的な目安としては、自社ECのCVRは1〜3%程度、モールECは約3〜5%が平均帯とされています。
※商材・価格帯・顧客層・広告比率・チャネルごとに大きく変わるため、あくまでも 「参考値」として活用ください。
LTV(顧客生涯価値)
LTVは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、1人の顧客が生涯を通じて生み出す売上(または利益) を示します。
LTV(顧客生涯価値) = 平均購買単価 × 購買頻度 × 継続期間 |
「どの顧客にどれだけ投資すべきか」を判断するための基準となり、リピーター育成・CRM戦略の評価軸として最も重要な指標とされています。とくにリピート型のビジネスモデルでは欠かせない指標です。
一般的な目安として、低〜中価格帯商材では 1.5〜3回購入相当の金額が平均のレンジとされています。
※リピート商材か単品通販か、D2Cか、モール中心かなどで大きく変動します。必ず自社データで再計算することが前提です。
CAC(顧客獲得単価)
CACは、Customer Acquisition Cost(カスタマー・アクイジション・コスト) の略で、新規顧客1人を獲得するためにかかった費用を示します。
CAC(顧客獲得単価) = マーケティング費用 ÷ 新規顧客数 |
広告投資の「効率性」を判断する基礎となり、LTVと比較することで投資してよい上限(許容CPA) を設定できます。
LTV < CAC となると、新規獲得のたびに赤字になるため、EC事業の健全性を保つために必ず押さえるべき指標です。
その他の関連指標
CPA(獲得単価)
コンバージョン1件を獲得するための広告コストARPU(1ユーザーあたり売上)
一定期間におけるユーザー1人あたりの平均売上離脱率
サイト訪問中に離脱したユーザーの割合リピート率
既存顧客が再購入した割合
これらの補助指標は、CVR・LTV・CACと組み合わせることで精度の高いEC戦略を作る基盤となります。
一般的な許容CACは、LTVの30〜70%以内を目安とするとよいでしょう。(例:LTVが1万円 → CACは3,000〜7,000円が適正ゾーン)
※CACは広告媒体の状況・業種・市場環境により大きく変動します。「自社のLTVを基準に逆算する」ことが本質です。
改めて基本の三大指標を振り返ります。
ここまで紹介してきた指標は、EC事業を数字で捉えるための共通言語そのものです。そして重要なのは、指標の定義を知ることだけではなく、どの指標を、どのタイミングで、どう管理し、改善につなげるかという運用プロセス(=KPI管理) にあります。
次のセクションでは、指標の定義と運用の役割を切り分けながら、KPI管理がEC戦略においてどんな役割を果たすのかを整理していきます。
KPI管理について、詳しくはこちらの記事もお読みください。
EC戦略における「KPI管理の役割と改善サイクル」
EC戦略におけるKPIの役割は、共通指標を使って「事業のどこを、どの順番で、どう改善するか」を判断できる状態をつくることです。
単に数値を見るだけではなく、その指標をもとに改善の優先度を整理し、実行・検証まで回せる改善サイクルを運用することが重要です。
ここでは、そのプロセスをわかりやすく整理して解説します。
EC戦略におけるKPI管理の目的
KPI管理は、数値の監視ではなく、正しい意思決定を行い、改善を進めるための共通言語の役割を果たします。
KPIを適切に管理することで、事業のボトルネックが可視化され、施策の優先順位を決められるようになります。
EC戦略設計「改善サイクルのプロセス」
KPI管理に重要なのは、次のような改善サイクルの運用プロセスを回すことです。
どの指標を重点管理すべきかを決める
集客は足りている → CVR改善を最優先どの頻度で確認するかを設計する
週次/月次など、フェーズに応じて更新改善策の優先順位を決める
限られたリソースで何から着手すべきかを明確化結果を次の施策に反映させる
PDCAを回し、改善効果を累積させていく
この一連の流れが「KPI管理=事業を動かす実務」といわれる理由です。
EC戦略には、なぜ共通言語(共有指標)が重要なのか
たとえば同じCVRを見ていても、「商品ページCVR」と「決済CVR」を混同していれば議論は噛み合いません。また、外部パートナーに「CVRを上げたい」と伝えるよりも、「現状3%を4%にしたい」のか「6%を目指す」のかを明確にしたほうが、提案される施策の内容も大きく変わります。
このように、共通指標の整備は、EC戦略の「改善の質・スピード・再現性」を高める土台となります。そして、この共通指標の活用においては、立場によって重視する視点が異なります。
次は、どのような視点で捉えるべきかを、担当者と経営層の例から解説します。
立場で変わるKPIの見方〜担当者と経営層の視点の違い〜
同じKPIでも、「何を見て、何を判断するか」は担当者と経営層で大きく異なります。ここでは、わかりやすく担当者と経営者を例にして解説します。
【担当者視点】日々の改善に活用
担当者が重視するのは、「いま起きている現象をどう改善するか」という運用レベルの判断です。
例えば、「今日のCVRは正常か?」「今週の広告CPAは想定範囲か?」「先週の数値との大きな乖離はないか」「商品ページ改善は数値にどう反映されたか?」などです。
つまり担当者は、現在の施策の良し悪しを判断し、次の一手を決めるためにKPIを見るといった視点です。
【経営層視点】EC戦略や投資判断の方向性に直結
一方で経営層がKPIを見る目的は、「どこに投資し、何を強化すべきか」という事業判断にあります。
たとえば、以下のような観点があります。
LTVはいくらか → 広告投資の上限はどこまで許容できるか
CACは妥当か → 新規獲得にさらに投資すべきか
リピート率の推移 → CRM組織を強化するべきか
つまり経営層は、事業の方向性や投資配分を決めるためにKPIを見る視点です。
立場が変わっても、共通指標が意思決定の精度を高める
担当者と経営層では重視する視点が異なりますが、指標の定義と数式が共通していることは、どの立場にとっても欠かせない条件です。
共通指標(=共通言語)が整うことで、次のようなメリットが生まれます。
【共通指標(共通言語)を持つメリット】
担当者のレポートが経営層に正確に伝わる
経営層の判断が現場の動きとズレない
外部パートナーとの議論がスムーズになる
改善すべき箇所の認識が全員で揃う
さらに、「担当者と経営層は見るポイントが違う」という前提自体を共有することが重要です。
この「前提の共有」と「共通指標の統一」が揃うことで、組織全体が同じ方向に動き、EC戦略の精度と意思決定スピードが大きく向上します。
まとめ:EC戦略を数字で語るために「共通言語」を持つ
EC戦略を正しく設計し、改善を継続していくためには、CVR・LTV・CAC などの指標を「共通言語」として社内で統一することが不可欠です。指標の意味や数式がチームごとに異なれば、議論は噛み合わず、改善の優先順位も揃いません。
共通指標が整うことで、次のような効果が生まれます。
担当者のレポートが経営層に正しく伝わる
経営層の判断が現場の動きとズレなくなる
外部パートナーとのコミュニケーションがスムーズになる
このように、共通指標はEC戦略の精度を底上げする基盤となります。
オンサイト株式会社は、EC戦略の課題を総合的に支援します。
どの指標を見ればよいかわからない
EC事業の成長が頭打ちになっている
戦略と日々の運用がつながっていない
外部パートナーと指標の認識が揃わない
オンサイト株式会社は、EC戦略設計・KPI構築・運用改善まで一気通貫で支援するEC戦略設計のプロフェッショナルです。
こうした課題に対し、貴社の事業フェーズに合わせて最適な戦略設計をご提案します。
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